RESTAURANT FoodCamp2022 大島屋蒟蒻店でおでんと創作エスニック料理で角打ちダイニング

November 12(土) 開催

福島県白河市天神町にある創業200年の蒟蒻店「大島屋蒟蒻店」を切り盛りするのは娘さんご夫妻。昔ながらの町屋の佇まいが色濃く残る店舗をリノベーションし、新たに自家製の蒟蒻と白河の冬野菜を楽しめるおでん屋さんをオープン。城下町白河の街並みに馴染む町屋おでん×BestTable芹沢シェフの創作エスニック料理で新たなレストランFoodCampの楽しみ方をご提供致します。蒟蒻芋の収穫体験、蒟蒻づくり体験ありの充実ツアーです。

大島屋蒟蒻店 https://ooshimaya.com/
旬のべジカフェバル Best Table  https://magonotetravel.co.jp/besttable

 

このツアーに【福島県「来て。」割】が使えるようになりました。
旅行代金から5000円の割引のほか、当日使える1000円分のクーポンが付いて、実質6000円OFF!
※「来て。」割のご利用には、ワクチン接種済みなどのご利用条件がございます。
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開催レポート

いつもはアウトドアダイニングが目玉の1つでありますが、さすが晩秋の福島ともなると、それが叶わぬ時期になってきます。そこで生まれた「レストランFoodCamp」は、美味しい・楽しい・面白い「レストラン」と「生産者」を繋ぐインドアスタイルFoodCampです。今回は、城下町・白河で代々蒟蒻の製造販売を行う「大島屋蒟蒻店」さん。しかも、新たに「おでん屋」をスタートするというので、レストランFoodCampにピッタリ!

今回は、おでん種としても欠かせない「蒟蒻」をテーマに原料となる蒟蒻芋の収穫から巡るツアーとなりました。

「来る里の杜」から眺める矢祭町と蒟蒻芋の収穫体験

最初に向かったのは矢祭町。かつては蒟蒻芋の栽培が盛んな地域で、蒟蒻で財を成した人たちが「蒟蒻神社」を建立したほど。しかし、欧米化が進んだ現代の食卓では、蒟蒻そのものの消費量は減り、さらに手間のかかる蒟蒻芋は栽培する人も減少。名産地であったこの地域でさえ、家庭で手作りされていた蒟蒻もだんだんと消えつつありました。そんな状態に危機感を感じた人がいます。片野惠仁さんです。

片野さんはここ矢祭町で生まれ育ち、長らく行政マンとして地域のために貢献してきました。定年退職を機に、地域の食文化を守りたいと在来種の蒟蒻芋を復活させるプロジェクトを立ち上げました。

私たちがバスを降りると、満面の笑みで出迎えてくれた片野さん。まずは、矢祭町の原風景を見て欲しいと片野さんたちが開拓した「来る里の杜(くるりのもり)」を案内してくれました。

勾配のある斜面を少し登り、小高い丘の頂上には小さな東屋が立っていました。そこからは矢祭町が一望でき、町の中央を流れる久慈川、水戸と郡山を繋ぐ水郡線、そして中学校や商店街など、おだやかな矢祭町の暮らしが手に取るようにわかりました。この景色を見ながら、片野さんが町の歴史や特徴などについて話しだすと、参加者の皆さんも興味深くその言葉に耳を傾けていました。

丘を降りると蒟蒻芋畑があります。いよいよ蒟蒻芋の収穫体験です。しかし、どこに蒟蒻芋があるのかわかりません。蒟蒻芋の茎は枯れてなくなり、畑はこんもりとした畝があるだけ。片野さんがあたりをつけてくださり、4つのグループに分かれて小さな鍬で少し掘ると・・・ありました!直径15cmほどのごつごつとした丸い芋が出てきました。

 

この芋からあのこんにゃくができるのがふしぎであり、1ケで相当量の蒟蒻ができるとのこと。余分な土や根っこを取って、いざ、蒟蒻づくり体験です。

3分クッキング方式で蒟蒻づくり体験

お次は、町営の「リフレッシュふるさとランド」の調理室にて、採れたての蒟蒻芋を使った蒟蒻づくり体験です。ご指導をいただくのは、片野さんの奥様はじめ、地域のお母さんたち。各チームに1名ずつついてくれましたので、初めてでも安心です。

まずは先ほど収穫した蒟蒻芋をきれいに水洗いし、さらに皮を剥き、1口大くらいの大きさにカットします。これを計量した水と一緒にミキサーにかけます。ペースト状になった蒟蒻芋に凝固剤を加え、手で練っていきます。素手て触るとかゆくなってしまうので、長手袋をはめて、代わる代わる練っていきます。ある程度の硬さになったら少し休ませます。ということで、少し休ませたものがこちら・・・というように何度か差し替えを用意してもらい、時間内に仕上げることが出来ました!まるで3分クッキングのようで、これには参加者の皆さんにもウケていました。

 

全行程を全て行うと2時間以上はゆうにかかるということ。お母さんたちの時間短縮作戦のお蔭で出来たての蒟蒻を食べることが出来ました。また矢祭町は柚子の栽培も盛んということで、お母さんたちが商品開発した「柚子味噌」や「柚子ジャム」「柚子羊羹」なども一緒に試食させていただきました。

片野さんご夫妻や地域お母さんたちにお別れして、一路、白河へ。

 

蒟蒻でチャレンジをする二人

「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもので、大島屋蒟蒻店さんに到着したときには辺りはすっかり暗くなっていました。10月下旬にオープンしたばかりの「おでんや 髪と台詞」は、しっぽりとした城下町白河の景観に馴染むようにリノベーションされており、かつスタイリッシュな佇まいです。

芹沢シェフは、お店の隣にシンデレラフィットしたフードカートで調理。

二人を象徴する店名 「髪と台詞」が白河の夜に輝く

朝晩の冷え込みが厳しくなってきた11月半ば、出汁のいい香りが立ち込める店内に一歩足を踏み入れると、大島屋蒟蒻店の8代目、吉島祐輔・佳津恵さんご夫妻が暖かく迎えてくれました。ノスタルジーな店内はまるでタイムスリップしたよう!参加者の皆さんのテンションも一気に高まりました。

そして、婿入りしたいきさつや蒟蒻屋としての苦悩、またそれをどう乗り越えてきたか、さらにはおでんやさんをはじめることになった理由など、元役者の祐輔さんが独特の口調で語りました。時々、笑いを交えながらもお二人の真剣な気持ち、従来の在り方に囚われないリベラルな精神、そして何よりこれまで家を守って来たお父様への想いや二人のこれまでの歩みを知り、胸が熱くなりました。

ユーモアがたっぷり!祐輔さんの挨拶

意外な組み合わせが美味しい=蒟蒻×エスニック料理

今日のダイニングは、楽しみ方が2通りあります。吉島ご夫妻特製のおでんを楽しむカウンタースタイルと古民家小上がりで楽しむ芹沢シェフ(BestTable)のエスニック・ビュッフェです。

あつあつのおでんは、卵や大根などの定番種の他、蒟蒻が2種類。これは先ほど片野さんの畑で収穫したような生の蒟蒻芋を使用した蒟蒻と粉末にした蒟蒻粉を使った蒟蒻の違いを食べ比べできるというもの。さすがは蒟蒻屋さんが提供するおでん屋ということもあり、こんな楽しみ方もできるのですね。

蒟蒻店直営のおでん屋ならではのおでん盛り合わせ!

エスニック・ビュッフェには、「請戸もの黒鯛のカルパッチョ」や「海老のカダイフ揚げ」など、芹沢さんのスペシャリティである、スパイスの効いたエスニック料理が並びました。「さしみ蒟蒻と海老の生春巻き」など大島屋蒟蒻店の食材もふんだんに使われています。

さらに地域の伝統料理「蒟蒻いなり寿司」も登場!
しっかりとした味をつけた蒟蒻をお稲荷さんのような袋状にし、酢飯を詰めたもの。こちらも大好評。この他、蒟蒻ステーキや蒟蒻と甘酒のスムージーなど、創意工夫に富んだ蒟蒻料理がバラエティ豊かで、楽しいディナータイムとなりました。

 
芹沢シェフアレンジの蒟蒻ステーキ

そして、今夜もとっておきのサプライズが!奥様の佳津恵さんとFoodCampチームのヨーストによるぶっつけ本番ミニライブです。
片付けを終えた片野さんご夫妻も合流し、夜は更けていきました。

最後は、いつものお見送り。

ツアーの見どころ

  • 蒟蒻畑の見学と収穫体験

    福島県と茨城県の県境にある矢祭町で蒟蒻芋を栽培する片野さん。この地域がなぜ蒟蒻の一大生産地になったのか、蒟蒻にまつわる矢祭町のお話をお伺いしながら、旬の蒟蒻芋を収穫します。

  • 蒟蒻づくり体験

    収穫した生の蒟蒻芋で蒟蒻を手作りします。「やまふぐ」とも言われる蒟蒻のお刺身は絶品!矢祭町のお母さん達の手ほどきのもと、グループに分かれて蒟蒻づくり体験です。

  • おでん&エスニック料理の角打ちダイニング

    町屋の佇まいが素敵な大島屋蒟蒻店さん。リノベーションしたばかりの店舗にておでん×BestTableの創作エスニック料理を角打ちスタイルでお楽しみいただきます。

 

 

キャスト紹介

髪と台詞…それは、現代版トワ・エ・モア 大島屋蒟蒻店 8代目 吉島 祐輔・佳津恵
由緒正しい白河藩のお膝元、白河の街中で200年続く大島屋蒟蒻店。婿入りし8代目となった吉島 祐輔さんと三姉妹の次女・佳津恵さんが切り盛りしている。ポジティブな違和感を楽しみ、歴史と伝統の町からイノベーティブな風を起こす二人の新たな物語が今日ここにまた始まる。
写真:8代目 吉島 祐輔・佳津恵

髪結いの君

古代に白河の関が置かれて以来、みちのくの玄関口として発展してきた白河市。江戸時代、松平定信公が白河藩主として統治した街並みは、城下町として今なお当時の面影を残す。この町の一角にある大島屋蒟蒻店の8代目に生まれた佳津恵さん。三姉妹の次女で、高校生の頃に母親が病死し、父親が母親の分まで愛情を注ぎ娘たちを育て上げてくれた。

蒟蒻屋というと、ずいぶんとクラシカルな家業であるが「何となく自分が継ぐのかもしれない」という予感がしていた。上京し、美容師となった佳津恵さんは居酒屋で帽子とメガネが印象的な男性と恋に落ちる。やがて二人に「結婚」の二文字がチラつき始めた。すでに姉と妹は嫁いでおり、率直に実家のことを話すと彼は「婿に入ってもいい」とあっさり答えてくれた。そして、二人になって白河に戻り、大島屋蒟蒻店の8代目となった。

台詞いいの僕

大阪生まれの関西人。白河に来たばかりの頃は関西弁をしばらく封印していた。理由は、地元のお祭りに参加したときに関西人というだけで「君にはわからないだろう」というようなことを言われたからだった。白河のほとんどの人は本当に優しいし、人あたりも良いのだが、どこか排他的な印象もある。もしかしたら、それはこの町が歴史ある証拠かもしれない。

蒟蒻屋になる前は、東京で舞台俳優をしていた。残念ながらその当時の時より、蒟蒻屋になってからの方がメディア露出が多いという皮肉な状況もある。それでも蒟蒻屋になってよかったと思うことの方が多い。蒟蒻は店頭や食卓では主役になることのない食材だが品質が高く、味染みの良い本物の蒟蒻は日本食文化の名役者である。「僕は蒟蒻のそういうところが大好き。美味しくて、面白くて、 かっこいい。そんな蒟蒻をひとりでも多くの人に楽しんで貰えるように、これからもずっと蒟蒻をつくり続けたい」という祐輔さんのまなざしは、柔らかい口調とは裏腹に真っすぐで強さを感じるものだった。

ポジティブな違和感

200年続く蒟蒻屋ではあるが、販売先はほとんどがスーパーだった。品質にこだわり、手づくりする美味しい蒟蒻であることは間違いないのだが、大量生産された蒟蒻と並べて売られていた。「このままでいいものか」そんな違和感を覚えた頃だった。震災後、東北6県の事業者が無料で参加できるお試し商談会なるものがあり、蒟蒻と2枚看板のところてんを持して参加。有名百貨店のバイヤーからは「物はいいが、パッケージがダサい。付属のタレがスーパーマーケット仕様になっている。これでは百貨店では取り扱えない」とバッサリ。品質だけでは高付加価値商品として認めてもらえないことを知った。

さらに蒟蒻もどうにかしたい。それまでは群馬県産の蒟蒻粉で製造していたが、やはり地元産にこだわりたい。そんな時、矢祭町で蒟蒻芋を栽培する片野さんを新聞で見かける。蒟蒻粉と生芋を使用する蒟蒻は食味の点からも機能的にもかなり違う。生芋の場合は、お芋の繊維まで入るため食物繊維が豊富である。例えるなら白米と玄米の違いくらい。ここから片野さんとの付き合いが始まったのだった。

矢祭町産の生芋を使った蒟蒻を新たに商品開発し、スーパーマーケットからの撤退を決めた。かつて指摘されたパッケージも全て刷新し、百貨店や産直、食のセレクトショップ、イベント出店など高付加価値な食品を求めるユーザー向けにアプローチした。このチャレンジは功を奏したが、昨今のコロナの影響でイベントはことごとく中止。販売機会が激減した。振り返ってみれば、地元があるのにわざわざ遠くのイベントへ出店していることに、また新たな違和感を覚えていたのも事実だった。これらを祐輔さんはポジティブな違和感という。

「お店を始めようか」

そんな発想がどこからともなく湧いてきた。そしてそれは、「おでん 髪と台詞」というカタチになって現れた。料理の修業も初めて、飲食店の経営も初めてである。それでも、二人に気負いがないのは、「料理を食べに来て欲しいというよりは、私たち二人に会いに来て欲しい。この空間を楽しみに来て欲しい。所詮素人がつくるおでんですから」と。どこかノスタルジーでありながらもイノベーティブな二人の発想こそが、老舗蒟蒻店を支えるしたたかさなのかもしれない。

今回のお題は蒟蒻ですか? 旬のべジカフェバル BestTable 料理長 芹沢 靖夫
郡山市開成にある旬のべジカフェバルBestTable料理長の芹沢シェフ。地産地消を掲げ、とりわけ野菜が美味しいと県内外問わずファンが多い。いつも美味しいものをたくさん食べて欲しいと、芹沢シェフのほんのりスパイスを効かせたオリジナル料理で新たな美味しさを届けてくれている。
写真:芹沢 靖夫

地域食材から味噌や醤油、そして今回のお題は蒟蒻・・・

芹沢シェフは、孫の手トラベルのグループである「旬のべジカフェバルBestTable」の料理長としてこれまで様々な生産者、食材にチャレンジしてきた。食材ばかりか調味料という難題に向き合うことも。

一昨年は、同じく白河市にある「根田醤油」さんで、200年以上使用されている醤油樽から造られる醤油や麹たっぷりの味噌をテーマにコース料理を展開。もちろん味噌や醤油が料理のメインに食材になるわけではないが、その生産者の想いや場が醸し出す空気感、そしてそこに息づく歴史や食文化を料理に取り入れ表現する。恐らく芹沢シェフならでは美学というのか哲学があってのことだろうが、決してそんなことは口にしないタイプである。

今回のお題は蒟蒻。取材兼打ち合わせに同行した芹沢シェフはいつにもまして言葉数が少ない。吉島ご夫妻から蒟蒻の製法やさまざな食べ方について静かに耳を傾けていたが、果たしてどうコラボレーションするのか。これは第三者ばかりか本人もまだ未知数のようだった。それでも当日を迎えれば「なるほど、そうか」と食べた人に納得させてしまうのだから、芹沢シェフはやぱり根っからの料理人なのかもしれない。

おでんとFoodCamp

晩秋の白河の夜はなかなかの冷え込みだ。そんな季節にほっこりするおでんは実にいい。それが矢祭町・片野さんの蒟蒻芋でつくった蒟蒻ならなおのこと。レストランFoodCampは戸外で食事をすることがどうしても叶わなくなる冬場に生まれた新たなFoodCampである。昨年と一昨年はホームともいえるBestTableで開催。今年は郡山を飛び出し、白河にやってくる。ツアー一行は矢祭町で片野さんの畑でしっかりと収穫体験をし、生産者と語り合い、地域に触れる。そのバトンは蒟蒻の生産者である大島屋蒟蒻店のお二人に渡され、食体験として展開される。吉島ご夫妻の出会いから、事業継承、そしていくつかの困難を乗り越えてきた二人の想いを汲み、この日限りのFoodCampはいつもの畑で行われるFoodCampとなんら変わりはない。とびっきりのおでんは二人にお任せするとして、芹沢シェフが加わることでこそ実現するFoodCampをどう創り出すのか、それに尽きる。

いつでも、どんな現場でもそうだが、これといった決まりはない。だからこそ難しくもあり、手応えを感じたときの達成感は計り知れない。それを知っている芹沢シェフだからこそ、今までのFoodCampがあるのだろう。

いつも同じ、美味しいものをたくさん食べて欲しい。

そんな芹沢シェフに「今回のFoodCampはどうか?」と尋ねても、帰ってくる返事はいつも同じである。「当日までわからない。まあ、美味しいものをたくさん食べて幸せになってもらえれば」という。

今回は、リノベーションしたばかりのピカピカの厨房に入らせてもらい、ちょぴり恥ずかしそうである。大の男2人も立てば手狭に感じるほどのスペースだが、祐輔さんとの組み合わせにはしっくりいっているようだった。どこかほんわかした雰囲気が漂う二人。白河の街角に裸電球が似合う店先から、笑い声がこぼれる夜になることは間違いないだろう。

 

本物の蒟蒻の味を届けたい 矢祭町 蒟蒻芋 生産者 片野 惠仁
矢祭町に生まれ育った片野さん。蒟蒻芋で潤った生産者たちが出資して建立した蒟蒻神社があるというほど。その盛衰を知る片野さんだからこそ、蒟蒻芋への想い入れは強く、それは地域を想う気持ちに他ならない。矢祭町の今昔物語を体現する片野さんの暮らしにも注目したい。
写真:片野 惠仁

福島県の最南・矢祭町は「こんにゃくの里」だった

福島県の最南端に位置し、茨城県と接している。 町の中心にはアユ釣りで有名な清流「久慈川」が北から南に流れ、この久慈川に沿ってJR水郡線と国道118号線が延びている。

この矢祭町では、かつて「こんにゃくの里」と言われるほど蒟蒻芋の生産が盛んで、町の基幹作物であった。

かつては矢祭町の世帯数は1800戸程であったがその4分の1にあたる約450戸が蒟蒻生産農家で、蒟蒻芋で潤った生産者たちが出資して建立した「こんにゃく神社」まであった。蒟蒻の原材料となる蒟蒻芋は、蒟蒻を製造する加工業者が主な取引先であるが、時代は変わり、加工しやすい蒟蒻芋を粉末にした蒟蒻粉の使用比率が増えたことや蒟蒻の消費そのものが低迷したことから、蒟蒻芋の生産者は減少の一途をたどっている。

この地域ならではの食文化を失いたくない

昔からこの地域で暮らしてきた片野家。その農家の長男として地元で生まれ育ち、就職も役場職員として定年まで勤め上げた。この辺りは兼業農家が多く、サラリーマンをしながらも土日は家の田畑を耕すことは日常的で、自家栽培の米や野菜は当たり前のこと。季節毎には山に分け入り、山菜やキノコ、栗などを採取して楽しむこともこの矢祭町での暮らしである。晩秋、霜が降りる頃になると収穫期を迎えるのが「蒟蒻芋」である。

畑で大きな蒟蒻芋を収穫し、手造りする蒟蒻は実に美味しい。各家庭の好みや作る加減によって、硬さが異なったりするのがまた面白い。スーパーに並ぶ蒟蒻とは一味も二味も違う蒟蒻の味を知る片野さんは「この地域ならではの食文化を失うことだけはしたくない」と強く思っていた。蒟蒻芋といえば群馬県が一大産地であるが、ここ矢祭町にも在来種があった。かつては在来種の蒟蒻芋を栽培していたが、病気になりやすく収量も少ない在来種を継続することは困難だった。しかし、「このままでいいのだろうか」そんな声がどこからともなく聞こえてくるようだった。

片野さんたちが立ち上げた「矢祭町 こんにゃく一畝一大プロジェクト」

定年退職後に立ち上げたのが「矢祭町 一畝一大プロジェクト」である。まさに片野さん流のシャレの効いた一世一代のプロジェクトである。まずは、在来種の蒟蒻芋を取り寄せ、まずは「一人、一畝(約100㎡)作ろう」をスローガンに共感してくれた仲間に種芋を配給。18人の仲間が集まり、蒟蒻芋の栽培をスタートした。蒟蒻芋は日当たりが良く、水はけのよい半日陰を好む。適度に山がちなこの辺りはまさに適地だった。収穫まで3~4年はかかる蒟蒻芋は根気のいる作物だが、それでも続けている原動力は何だろうか。

「最近、孫たちが『こんにゃく大好き、じいの蒟蒻が一番美味しい』と言ってくれるんです」と目を細める片野さん。すると奥さんが「家にあるものだけど・・・」といってお昼を用意してくださった。畑で採れた茄子やオクラ、カボチャの揚げ浸し、インゲンの胡麻和え、そして手作りの蒟蒻。生姜醤油で食べた手作り蒟蒻は喉越しが良く、いくらでも食べられる。

「これが私たちのいつもの暮らしです。自分たちが手をかけて作ったものを食べています。全て自分がやっているんだという楽しさもあります。本物の蒟蒻の味を知って欲しいし、この地域の風土や文化を知って欲しい」とFoodCampへの期待も高そうだ。

59市町村の最南端の町、矢祭町からの強いメッセージを受けた今回のFoodCampは責任重大。ぜひ、その想いを実現したいと切に思う。

ツアーのスケジュール

  1. お迎え・営業所集合

    11:30 p.m.

    郡山市内のご自宅(滞在先)または郡山駅に郡山観光交通のタクシーにてお迎えに参ります。
    お迎え時刻は前日までにご連絡致します。
    ※郡山駅にてお迎えの方は、11:15までに郡山駅到着のダイヤでお越しください。

  2. 現地へ向けて出発!

    12:00 p.m.

    孫の手トラベル 安積町営業所より観光バスにて現地へ出発します。
    ※営業所までお車の方は11:50までにお越し下さい。(駐車場多少あり)

  3. 経由地~新白河駅からのお客様ご乗車

    12:55 p.m.

    新白河駅(東北新幹線停車駅)を経由して現地へ向かいます。新白河駅からご乗車ご希望の方は新白河駅西口ロータリーへ12:45までにお越し下さい。

  4. 矢祭町の蒟蒻畑に到着

    14:30 p.m.

    矢祭町で蒟蒻芋の栽培する片野さんの畑へお邪魔します。畑で旬を迎えた蒟蒻芋を収穫します。今ではすっかり生産量が少なくなった矢祭町の蒟蒻芋を復活させようと奮起する片野さんの活動をお聞きしながら、矢祭町の暮らしに触れる時間です。

  5. 蒟蒻づくり体験 

    15:30 p.m.

    矢祭町の「リフレッシュふるさとランド」にて、地元のお母さんたちの手ほどきのもと、掘りたての蒟蒻芋で蒟蒻づくり体験です。グループに分かれて蒟蒻芋の下処理、練り、成形、茹で上げなどの工程を体験します。出来たての蒟蒻の試食もあります。

  6. 大島屋蒟蒻店、到着!

    18:15 p.m.

    本日のダイニング会場となります「大島屋蒟蒻店」に到着です。風情ある町屋を活かしてリノベーションし、新たにおでん屋さんをオープン。なぜ、おでん屋さんを始めるに至ったのか?その名も「台詞と髪」という独特のネーミングにも、後を継がれた娘さんご夫婦の素敵な物語にそっと耳を傾けてみましょう。

  7. お待ちかねのディナータイム♪

    18:45 p.m.

    こちらにいつものフードカートとBestTableの芹沢が出張し、レストランFoodCampを展開します。大島屋蒟蒻店さんのおでんと芹沢シェフの創作エスニック料理のコラボレーションで、お腹も心もほっこりする時間です。

  8. 現地出発

    20:55 p.m.

    楽しい時間はあっという間。大島屋蒟蒻店を出発し、一路、新白河駅へ向かいます。お買い物も大島屋蒟蒻店の店舗にて可能です。

  9. 経由地~新白河駅

    21:05 p.m.

    往路同様に新白河駅を経由します。新白河駅から新幹線・在来線など公共交通機関をご利用の方は、21:20以降のダイヤをお手配ください。

  10. 孫の手トラベル安積町営業所に到着

    21:55 p.m.

    安積町の営業所に到着後、タクシーにて郡山市内のご自宅(滞在先)または郡山駅へお送り致します。
    ※お帰りの際、交通機関をご利用の方は、郡山駅発22:20以降のダイヤをお手配下さい。

ツアーの詳細

開催日
November 12(土)
料金
お一人様 18,800円
【福島県「来て。」割】で、 旅行代金から5000円の割引のほか、当日使える1000円分のクーポンが付いて、実質6000円OFF!
※お子様・現地集合も同一料金となります。
当日の服装・持ち物
・畑での作業があります。防寒対策をしっかりされてご参加ください。
・動き易い靴や服装でお越しください。
・コロナウイルス感染予防のため、マスクをご着用ください。
参加条件
本ツアーは小学生以上の方で、お一人で行動が出来る方(介添えなどが不要、医師からの許可がある方)であればどなたでも参加が可能です。なお、お子様も同料金となります。
運行会社
郡山観光交通株式会社
添乗員
孫の手トラベル自社スタッフが同行いたします
お支払い方法
参加までの流れをご参照ください
旅行保険の加入
いずれのツアーも万が一に備え、旅行保険に加入していただきます。保険料はツアー代金に含まれております。そのため、生年月日の情報もいただいております。
キャンセル料について
宿泊・チケット付きツアーは20~8日前20%、7~2日前30%、前日40%、当日旅行前50%、旅行開始後無連絡不参加は100%発生いたします。
また日帰りツアーは旅行開始日の前日から起算してさかのぼり、10~8日前20%、7~2日前30%、前日40%、当日旅行前50%、旅行開始後無連絡不参加は100%発生いたします。
雨天時の対応
雨天でも決行いたしますが、やむをえず自然災害等で中止の場合は、前日お電話にてお知らせいたします。その場合、お預かりしているツアー代金は全額ご返金いたします。
最小催行人数
15名 ※お申し込みが最少出発人数に満たずツアー中止となる場合は、4日前までにご連絡いたします。
旅行条件書
旅行条件書のページをご参照ください
その他注意事項
コロナウイルス感染防止のため、事前に健康調査に関するお願いをしております。お申込み後に詳細をご連絡致しますので、ご協力程よろしくお願い致します。

開催地

【現地集合場所】

参加までの流れ

  1. ツアーのお申込み

    ツアー名・出発日・参加者の氏名・住所・生年月日・電話番号をご用意いただき、お電話・FAXまたはインターネットにてお申込みください。
    お支払いは銀行振込またはご来店での現金支払となります。インターネットでのお申込の場合はカード決済にも対応しております。

    FAX
    024-945-1324

    9:00~18:00 日・祝休

    インターネットからのお申込

    お申込されるツアーページ下部の「このツアーに参加を申込む」ボタンよりお申込ください

  2. 案内書の送付

    お申込みいただいた方には、振込先等について記載した案内書を郵送またはメールいたします。持ち物、注意事項などもご確認ください。

  3. お支払い・予約確定

    ツアー代金のお支払いをもって、予約確定となります。案内書到着から15日以内にご入金ください。

  4. 最終確認

    前日までに添乗員から電話またはメールをいたします。タクシーのお迎え時間などのご連絡をさせていただきます。

  5. 当日

    ご自宅または郡山駅に相乗りタクシーがお迎えに上がります。また、旅のしおりをお渡しいたします。お帰りはもちろん、タクシーでご自宅までお送りいたします。

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写真:Food Campの青空レストラン