ふくしま逢瀬ワイナリーの契約農家で、郡山市中田町でワイン用ブドウを栽培する中尾ぶどう園。いいワインにはいいブドウが不可欠と生産者としてのプライドをかけて栽培している。今年は中尾ぶどう園のブドウを主体としたワインもリリースされる。中尾さんの畑訪問やふくしま逢瀬ワイナリーでの醸造所見学、ワインに合うコース料理など郡山ワインツーリズムをFoodCampで堪能しよう!シェフはフレンチのスペシャリスト、プチグリーンの鈴木文康シェフにご登場いただきます。
ふくしま逢瀬ワイナリー https://ousewinery.jp
PETIT GREEN プチ グリーン http://www.green-co.jp/
開催レポート
まずは、ブドウ畑での摘果作業体験
2015年に郡山市に誕生したふくしま逢瀬ワイナリー。今日は、ワイナリーの契約栽培農家である中尾ブドウ園の中尾秀明さんの畑からスタートです。中尾さんはお父様の代からブドウ栽培を始め、ワイナリーの設立をきっかけにワイン用ブドウの栽培に着手。同じブドウでもワイン用と生食用では栽培方法はかなり違うとのこと。そんな話を聞きながら、ワイン用ブドウの摘果作業を体験していただきました。
この作業は、別名「肩落とし」とも呼ばれるそうで、マツカサを逆さにしたような形状のブドウの「肩」や枝葉についた余分な実を取り除くことで、収量のバランスを取り、成熟した良い実とすることを目的としています。
作業のお手本を見せてもらうと、結構な勢いで実を落としていきます。これには「もったいない~」と感じた方も多かったのですが、この収量をコントロールすることが良いワインを作るためには必須。それならばと、ハサミを片手に参加者のみなさんもどんどん作業を進めていきます。
一人、手慣れた方がいるな~と思っていると、こちらはふくしま逢瀬ワイナリーの醸造を担当している江花さん。時々、中尾さんの畑へ来て、ブドウの生育状況やワイン醸造のスケジュールなどを共有しながら、連携しているとのこと。
江花さんからもブドウ栽培に関する様々なお話を伺いながら約1時間半、しっかり摘果作業を体験しました。ブドウ棚の高さは大人のちょうど背の高さ位。かがみ腰での作業はなかなかのハードワーク。これをこの時期、延々とする生産者には頭が下がる想いです。そんなブドウ栽培の実態を理解しつつ、作業を終え、いざワイナリーへ。
水素キッチンカーも参戦?
中尾さんの畑から車で走ること約30分、郡山市逢瀬町にある「ふくしま逢瀬ワイナリー」のエントランスは芝生が美しい広場になっていて、清々しい気分にさせてくれます。そして、見慣れたフードカートを発見し、近づいてみるともう1台、車があります。「FoodCamper」と車体にデザインされたそれは水素から電気を起こし、電気で稼働する水素キッチンカーです。実はこれは福島県とトヨタ自動車と孫の手トラベルが共同開発した世界でたった一つの水素キッチンカーです。初めて見る水素キッチンカーに参加者の皆さんも興味深々。今日は、この水素キッチンカーで調理したお料理も振舞われるとのことで、また一つ楽しみが増えたようでした。
ワインができるまで~醸造施設の見学
立派な建物の中に入ると、出迎えてくれたのはふくしま逢瀬ワイナリーの副代表理事でソムリエの大河原久尚さん。ワイナリーのボトルを片手にエチケット(ワインのラベル)に描かれた意味やそこに込められた想いを丁寧にご説明くださいました。
そして、再び登場の江花さん。畑ですっかりみなさんと意気投合し、和気あいあいの雰囲気で、醸造設備をわかりやすく案内してくれました。
ワインの世界では「初めに良質な果実あり」と力説する江花さん。そのためにも自らもブドウ農家さんのところへ出向き、一緒に汗を流しているのですね。そして、ブドウ果実のポテンシャルを最大限発揮させるために、醸造家として成分分析を行い、適熟期を見極め、収穫したブドウに合った醸造を心がけているそうです。ワイナリーの敷地内には試験栽培している様々な品種のワイン用ブドウが植えられており、ここ郡山の気候や土壌にふさわしいブドウ品種や栽培方法を研究しています。栽培から醸造までの一連の工程を理解することで、今日のワインが一段と楽しみになったのは言うまでもありません。
鈴木シェフによる本格フレンチと郡山産ワインペアリング
お天気の心配があったので、ワイナリーの一室を借りての室内FoodCampとなりましたが、卓上には先ほど訪れた中尾さんのブドウ畑で摘果したブドウの実や枝があしらわれ、いつものFoodCampらしい雰囲気が漂っています。
ここ数年のFoodCampではその回のテーマに沿ったオリジナルカクテルをご提供していますが、この日の乾杯のドリンクは爽やかな紫蘇を使ったカクテルです。今日の労をねぎらい、今年もいいワインができるようにと願いを込めて、さあ乾杯です!「とても忙しい時期だけに当初は皆さんと席を共にするのは難しいかも?」といっていた中尾さんの姿がありました。「今日、ここに座れたのは、作業を手伝ってくれた参加者のみなさんのおかげです」と中尾さんも嬉しそうでした。
本日のお料理は郡山駅前のフレンチレストラン「PETIT GREEN」の鈴木文康オーナーシェフによるもの。1品目のオードブルは、自家製スモークサーモン、キャロットラペ、豚肉の自家製リエット、ラタトゥイユのタルトレット、クリームチーズのバルケット、エゾ鹿の田舎風パテの全6品。目にも美しく、ワインに合うお料理の数々。もうこれだけでワインが何杯も進んでしまいそうです。
さらにお料理は続き、メインの牛ホホ肉の赤ワイン煮込み・季節野菜添えに合わせて、完売したと聞いていた中尾さんのブドウを使った「キュベ・中尾」が登場。中尾さんのストックワインを特別にご提供いただきました。このサプライズには、思わず会場から歓声が沸き起こりました。
今回のFoodCampはワイン用ブドウ栽培から醸造、そしてワインとお料理のペアリングなど、「郡山ワインツーリズム」を体感する1日だったかと思います。ひとりでも多くの郡山ワインのファンが増えてくれたら嬉しいですね。ぜひ、次回もみなさまのご参加をお待ちしております。
ツアーの見どころ
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広大な葡萄畑で摘果体験
中尾ぶどう園さんでは、ワイン用ブドウはもちろんこと、古くから食用ぶどうを栽培しています。中尾さんが作るブドウは予約注文だけで完売してしまう人気ぶり。美味しい葡萄にするために重要な摘果作業を今回特別に体験いただきます。
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最新設備が揃うワイナリーを見学
ふくしま逢瀬ワイナリーは県内でも最大規模を誇るワイナリー。イタリアなどから取り寄せたワイン醸造のための最新設備を完備しています。普段見れないワイン醸造の現場を知ることができます。
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中尾さんのブドウを使ったワイン&フレンチコース料理
中尾さんのブドウを使用し醸造した赤ワインの他、ふくしま逢瀬ワイナリーの豊富なラインナップから、今日の料理にピッタリなワインをセレクト。郡山産の食材とワイン、鈴木シェフの本格フレンチで「郡山テロワール」を満喫しましょう。
キャスト紹介
- いいワインには、良いぶどうから 中尾ぶどう園 中尾 秀明
- ふくしま逢瀬ワイナリーの契約農家で、郡山市中田町でワイン用ブドウを栽培する中尾ぶどう園。いいワインにはいいブドウが不可欠と生産者としてのプライドをかけて栽培している。福島のワイン用ブドウ栽培を牽引する若きリーダーである。
「ブドウ農家を継ぐものだ」といわれ続けて
子どもの頃から家業であったブドウ栽培の手伝いをしていた秀明さん。大学は農学部に進学し、もうその時には農家になることを決めていたそう。「私が卒業する頃は就職氷河期というのもあったんですが、自然相手の仕事の方が自分の性格には合っていると思っていたので迷いはなかったです」と。しかし、農家の担い手となり関わってみると、具体的な作業はほぼ知らないに等しかったという。
そんな秀明さんがこれまでの農業人生を振り返って一番辛かった出来事は?という質問に、こんな答えが返って来た。父親から経営を譲り受け、自らが経営者となった2年目の年のことだった。不作で予定していた出荷数がどうしても確保できず、予約を受けていたお客様にお断りをしたことだった。収益以上に待っていてくれていたお客様にブドウが出せなかったことが一番悔やまれたと語る。それだけ生産者としての責任を感じていたからだった。
見ため重視の食べる用のブドウ、ワイン用は凝縮感
中尾ぶどう園は秀明さんのお父さんがブドウ栽培を始めたが、ワイン用ブドウ栽培は2016年から。郡山市初のワイナリー「ふくしま逢瀬ワイナリーから契約栽培農家にならないか」とお誘いを受けたことがきっかけである。それまでは一般的に食べる用のブドウ(生食用)を栽培していたが、新しい品種などを試験的に栽培している畑があったので、そこをワイン用ブドウに転用。現在はメルロ、シャルドネなど、約150本ほど栽培している。
これまで生食用のブドウを栽培してきたが、ワイン用ブドウに求められることはまるで違う。生食用のブドウは見た目の良しあしがとても重要で、粒の大きさやみずみずしさが求められる。ところがワイン用ブドウの場合、枝の管理が生食用とは大きく異なるし、肥料はほぼ要らない。収量を上手にコントロールし、より凝縮感のあるブドウがワイン用には求められる。もちろん、共通する部分もあるが、改めてワイン用ブドウの生産者としての栽培技術やノウハウを習得すべくブドウに向き合う日々である。
地域のためにも貢献したい
年間約2t弱のブドウをワイナリーへ提供しているが、実際に自分の名前が入ったワインを見たときは、背筋が伸びる想いだったそう。「自分が作ったブドウ100%のワインを飲んでみたいという気持ちはありましたが、本当に自分の名前が入ったボトルを見たときには、正直、恥ずかしいやら・・・なんやら」と苦笑いする秀明さん。契約栽培農家でも1,2を争う作付け面積を誇る中尾さんへの期待はワイナリーとしても大きい。
「まだまだ福島のワインは知られていないし、地域の人も地元郡山でワイン用のブドウを栽培していることを知らない人もいる。少しでも地域の貢献になればいいかな」と、そんな想いで今回のFoodCampのオファーを受けてくれた。少々シャイな性格ながらもブドウ栽培へのこだわりは並々ではない。郡山東部の小高い丘に佇むブドウ畑から郡山ワインドリームを支える中尾さんに、ぜひ会って欲しい。
- 食材に嘘はつきたくない PETIT GREEN オーナーシェフ 鈴木 文康
- 料理人とは料理するから料理人であって、手を加えることが前提。しかし、食材の形が無くなっても、風味とか香りとかその食材の個性が残ることが、その食材に嘘をつかないことだという。生産者と密にコミュニケーションを取って理解していくことが何より大事だと、いつも生産者の声に耳を傾ける鈴木シェフがいる。
26歳で渡仏、井の中の蛙だった
調理師の名門、辻調理師専門学校を卒業、さらに同校での講師を経て26歳で渡仏。その後星付きレストランでの経験を持つ鈴木シェフは、当時の自分を振り返ってこう言う。「辻調で先生もしていたから、結構いい気になっていたよね。しかし、海外へ行って日本で何をやってきたのかと思ったんです」と。
その理由として、「日本では、日本の生活習慣、出来上がった和食というものがあって、よその事はわからないことが多い。日本と同じようにパリでも365日、様々な食材が手に入りますが、だからといって四季がないわけではないんです。旬の食べ方やその地域ならではのものあり、その地域の、その季節ならではのソウルフードがある」とのこと。「ある日、レストランの賄いで白いんげんを煮たものがでてきて、僕は正直、『何だ豆かぁ』と思ったんですよ。けれどシェフも他のスタッフもみんな喜こんでいて。この地域では、この季節にこんな風にして食べるんだというのを肌で感じましたね」と。まさに、そこに行かなければわからないこと、それに尽きるのだろう。
食材に嘘はつきたくない
「料理人とは、料理をするから料理人であって、料理とは調理する=つまり、火を通すことであり、極端な言い方をすれば、サラダを出すのであれば料理人はいらない」と料理人として確固たる信念を持つ鈴木シェフ。さらに、「手を加えて食材の形が無くなっても、風味とか、香りとかその食材の個性が残っていればいいと思うんですよね」と。その言葉の裏側には、手を加えるにしても、その食材ではない別のものにはしない、つまり食材に嘘をつかないという食材へのリスペクトが伺える。いかに、良い食材に巡り合えるかもとても重要ではあるが、あえて他県のものを買う必要はないとのこと。基本の食材は地元で十分、その特徴を掴んでどう使い分けるか、生産者と密にコミュニケーションを取って理解していくことが大事だと、いつも生産者の声に耳を傾ける鈴木シェフがいる。
ワインに料理を合わせる
普段、お店ではヨーロッパのワインを取り扱っている鈴木シェフ。日本ワインは水分量が多く、凝縮感に欠けるという印象がある。それもそのはず日本は雨が多いため、どうしてもそうなってしまう。そんな環境でも昨今のワインブームは稀に見る盛り上がりで、いまや日本全国大小合わせて400以上ものワイナリーがある。そんな状況を鈴木シェフは冷静に受け止めつつ、こんな風にコメントしてくれた。「ワイン用ブドウの栽培技術も樹齢もこれからだと思うけど、僕が料理人として出来ることは、ワインに料理を合わせることじゃないかな」と。レストランにいけば、この料理に合うワインはどれか?となりがちだが、日本ワインの良さを引きだすことが料理人としてやるべきことだろうと。
後日開かれた、ふくしま逢瀬ワイナリーの商品発表会でもしっかりテイスティングをし、当日の料理構成をイメージしていた鈴木シェフ。郡山生まれ、郡山育ちの二人が奏でる郡山テロワールをしっかりと感じてみたい。
ツアーのスケジュール
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お迎え
8:30 a.m.
郡山市内のご自宅(滞在先)または郡山駅に郡山観光交通のタクシーにてお迎えに参ります。お迎え時刻は前日までにご連絡致します。
※郡山駅にてお迎えの方は、8:20までに郡山駅到着のダイヤでお越しください。 -
出発!
9:00 a.m.
孫の手トラベル 安積町営業所より観光バスにて現地へ出発します。
※営業所までお車で来られる方は8:50までにお越し下さい。(駐車場多少あり) -
現地到着⇒農業体験(摘果作業)
9:30 a.m.
中尾ブドウ園さんの畑(生食用)に到着されましたら、園主の中尾さんのガイドで、ぶどう畑の案内と共に摘果(=収量をコントロールするために不要な実を取り除く作業)作業をお手伝いいただきます。
※作業に必要な軍手などご用意します。帽子やタオルなどはご自身でご用意ください。また動き易い服装や靴でご参加ください。 -
逢瀬ワイナリーに向けて出発!
11:30 a.m.
今回のダイニング会場の「ふくしま逢瀬ワイナリー」へ向かいます。バスの中ではしばしクールダウンしていただき、次なる目的地まで郡山市の風景をご堪能ください。
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逢瀬ワイナリー到着(ワイナリー見学)
12:10 p.m.
中尾さんのブドウを使ってワイン醸造をしている「ふくしま逢瀬ワイナリー」さんを見学します。普段はなかなか見ることができないワイン醸造の現場をワイナリーのスタッフ方からご説明いただきます。
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ランチタイム♪
13:00 p.m.
ふくしま逢瀬ワイナリーさんのワインと県産食材をふんだんに使ったプチグリーンの鈴木シェフによるフレンチペアリングランチコースをご堪能いただきます。食後はワイナリー内のショップでのお買い物もお楽しみください。
(オプションでお得なワインペアリングセット¥2,800をご希望の方は、申し込み時にご注文ください。) -
現地を出発
15:30 p.m.
楽しい時間はあっという間。ワイナリーを出発し、一路、孫の手トラベル安積町営業所へ向かいます。
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孫の手トラベル安積町営業所に到着
16:00 p.m.
安積町の営業所に到着後、タクシーにて郡山市内のご自宅(滞在先)または郡山駅へお送り致します。
※お帰りの際、交通機関をご利用の方は、郡山駅発17:00以降のダイヤをお手配下さい。
ツアーの詳細
- 開催日
- July 8(土)
- 料金
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お一人様・税込 18,700円 オプション(ワインペアリング3杯セット)税込 2,800 円 - 当日の服装・持ち物
- ・畑での作業をいますので、汚れてもよい動き易い靴や服装、帽子やタオル等をお持ちください。
・虫さされを防ぐために、特に足首など肌を露出しない服装でお越しください。
・コロナウイルス感染予防のため、マスクをご着用ください。 - 参加条件
- 本ツアーは小学生以上の方で、お一人で行動が出来る方(介添えなどが不要、医師からの許可がある方)であればどなたでも参加が可能です。なお、お子様も同料金となります。
- 運行会社
- 郡山観光交通株式会社
- 添乗員
- 孫の手トラベル自社スタッフが同行いたします
- お支払い方法
- 参加までの流れをご参照ください
- 旅行保険の加入
- いずれのツアーも万が一に備え、旅行保険に加入していただきます。保険料はツアー代金に含まれております。そのため、生年月日の情報もいただいております。
- キャンセル料について
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宿泊・チケット付きツアーは20~8日前20%、7~2日前30%、前日40%、当日旅行前50%、旅行開始後無連絡不参加は100%発生いたします。
また日帰りツアーは旅行開始日の前日から起算してさかのぼり、10~8日前20%、7~2日前30%、前日40%、当日旅行前50%、旅行開始後無連絡不参加は100%発生いたします。 - 雨天時の対応
- 雨天でも決行いたしますが、やむをえず自然災害等で中止の場合は、前日お電話にてお知らせいたします。その場合、お預かりしているツアー代金は全額ご返金いたします。
- 最小催行人数
- 15名 ※お申し込みが最少出発人数に満たずツアー中止となる場合は、4日前までにご連絡いたします。
- 旅行条件書
- 旅行条件書のページをご参照ください
- その他注意事項
- コロナウイルス感染防止のため、事前に健康調査に関するお願いをしております。お申込み後に詳細をご連絡致しますので、ご協力程よろしくお願い致します。
開催地
ふくしま逢瀬ワイナリー 〒963-0213 福島県郡山市逢瀬町多田野郷士郷士2番地